高畠町の歴史的シンボルといえば、安久津八幡神社の三重塔です。安久津八幡神社の起源は貞観2年(860年)と言われています。
そのころ精力的に寺の開山、再興をしていた慈覚大師が、東の国にも目を向け、山形の立石寺などを開きました。
また安久津には豪族・安久津磐三郎という人がいて、彼の協力で慈覚大師が安久津に阿弥陀堂を建立したのが始まりと言われています。
その後、源平合戦の時代に入り、奥州安倍一族討伐の命を受けた源義経がこの地に入り、戦勝を祈願しました。
その結果大勝し、源氏の氏神である八幡神社を建立したと伝えられています。
神社の名前によって、古き時代の勢力図が見えてくるのもおもしろいものです。
三重塔
さて、境内に入ってみましょう。
東北でも珍しい三重塔はその高さからも真っ先に目に入ります。
塔は鳥居をくぐった左側に建っており、池のほとりに建っています。
近づいてみると軒組の造形の美しさに圧倒されます。
長い間の風雪に耐えた木組は古色蒼然としていますが、それが逆に深い味わいを醸し出しているようです。
安久津八幡神社の建物は全てが自然に溶け込むような一体感があります。
舞楽殿
苔生す石畳の上、参道の奥に進むと正面に舞楽殿が建っています。
舞楽殿はいわゆる舞台造りで、宝形作り、三角形の屋根4枚で作られています。
この舞台の上で、5月安久津八幡神社、春の例大祭では「倭舞(やまとまい)」、「田植踊」が舞われます。
優美な衣装をまとった巫女たちが、鈴や扇を持ち当時の時間の流れを表現するようにゆったりと舞います。
9月の秋の例大祭では、小学生の男子が舞う「延年の舞」は、農作物の豊作や、天下泰平、国や国民の安全を祈願するものです。
山形県の無形民俗文化財にも指定されています。
流鏑馬も披露されます。
室町時代の舞台で舞う、いつの間にかトリップできそうな異空間です。
本殿
舞楽殿を抜け、参道に戻り進みます。
石畳は苔むしており、一層静寂さを感じます。
本殿が見えてきました。
三間社流造(さんげんしゃながれづくり)とは、社の正面の屋根を長く伸ばす造りで、屋根は茅葺です。
屋根には苔が生し、草も生えていることがあります。
この本堂は宝暦5(1755)年に再建されたものです。
それでも二百数十年経った威風には、堅牢豪胆なイメージではありませんが、揺るがない時の深さを感じさせます。
三重塔とはまた違った味わいを楽しめます。
この三建造物は山形県の指定文化財となっています。
奥の院
そこから、さらに奥に行くと「奥の院」です。
急な細い山道を15分ほど登ると、小さな祠が見えてきます。
そこから散策路に出ることもできますが、履き物はしっかりしたものが必要です。
安久津古墳群
境内には他に鐘つき堂、千年松、安久津古墳群など、歴史を感じるものが多く点在しています。
四季折々の姿
安久津八幡神社に春に訪れると、黄色い菜の花の絨毯の上に、桜の花と三重塔の美しいコントラストをみることができます。
夏は大きなひまわりの花。
秋は見事な紅葉。
では雪深い冬に訪れたらどうでしょうか。
冬、年末年始と1月と2月の一部期間に、三重塔のライトアップが行われます。
彩墨画のような冬の雪景色を、ライトが照らし出し荘厳な世界を味わうことができます。
時間は午後5時ごろから8時ごろまでです。
住所
山形県東置賜郡高畠町安久津2011
連絡先
安久津八幡神社 0238-52-5990
ライトアップなどの問合先
高畠町観光協会:0238-57-3844
駐車場
安久津八幡神社の入り口側
アクセス
高畠駅より車で10分
東北中央道・南陽高畠ICから車で約8分
ホームページ
本殿
構造および形式:桁行三間、梁間二間、一重、流造、茅葺
設置年月日:宝暦5年再建(1755年)
三重塔
構造および形式:三間三重塔婆、銅版葺
設置年月日:初建 寛永2年(1625年)
再建 寛政9年(1797年)
舞楽殿
構造および形式:桁行一間、梁間一間、一重、宝形造、茅葺
設置年月日:室町末期
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